私たちはお空に、誰もが便利に使える大きなカレンダーを持っています。 そう、お月様です。 日本の江戸時代までのカレンダーでは、お月様が 東の夜空に細~く表れてから 毎日少しずつ大きくなってやがてまん丸の満月となり、 そして今度は少しずつ欠けていって、今度は全く見えなくなってしまうまで を一ヶ「月」としていました。
お月見の日は、「中秋の名月」です。
満月は毎月1回見ることができますが、空気が澄んで最も明るく見えるので、毎年旧暦8月 15日の「中秋(ちゅうしゅう)の名月」にお月見をします(※「旧暦」についてはこちらをご覧下さい)。 昔は旧暦七月、八月、九月が秋だったので旧暦八月は「中秋」、つまり「秋の真ん中」という意味です。
この時期は里芋が収穫されるので、別名「芋(いも)名月」とも呼ばれます。
お月見はいつ頃から行われているの?
お月見は、春秋時代(今から七、八千年前)の中国で行われていた記録が残っています。 日本では平安時代に天皇や貴族によって宮中で行われていました。その頃は月を愛でながら庭に掘った池に舟を浮かべ、音楽を奏でたり詩を読み交わしたりしていたそうです。 室町時代から江戸時代にかけてやがて庶民に浸透すると、お月様に秋の収穫を感謝する行事となっていきました。
お団子や収穫されたばかりの里芋や栗をお供えし、また豊作を願う予祝(よしゅく:あらかじめお祝いすることでそのことが実現しやすくすること)として、これから収穫期を迎える稲に似た植物である芒(すすき)を飾るようになりました。
ちょっとここでお月見クイズ♪
Q:お月見に供えるお団子は何個?
A:十五夜なので、お供えするのは15個。
あるいは、1年は12か月なので12個(潤年の時は13個)と言われます。
「月のうさぎ」のお話
どうして、「月にはうさぎがいる」と言われているのでしょうか。
それは、お釈迦様が話したある仏教の説話が元になっています。
ある時、お腹を空かせて今にも死んでしまいそうな老人の旅人がいました。 熊は木の実を、狐は魚を採って持ってきましたが、うさぎだけはどうしても何も見つける ことができませんでした。 そこで周りに火をおこしてくれるように頼んだうさぎは、「私を焼いて食べて下さい」と 自ら火の中に飛び込んで焼け死んでしまいました。 実はその旅人の老人は、助け合って仲良く暮らしているという噂の動物たちを試しに 来た帝釈天の化身でした。「なんと可哀想なことをしてしまった」と涙した彼は、うさぎ を天の月にあげてあげました。 そのためうさぎは今でも月で皆のために餅をついているのだといわれています。
<追伸>この動物たちは、菩薩道(ぼさつどう)の修行中だったと言われています。 自分の悟りはすでに終わったけれども、他の人々を救うためにこの世に生まれてきている存在を「菩薩」と呼びます。 またそのような道を志した時点で、その人はすでに菩薩道にいるそうです。
お月見どろぼうのお話
お月見の晩には、子供たちがお供え物を盗んでもいい「お月見どろぼう」という風習が ありました。 竿の先に針金などを付けて、お供えのお菓子を吊り上げたりしていたそうです。 また、月からの使者に扮した子供達が「お月見くださーい」「お月見どろぼうでーす」 などと言いながら家々を訪ねてまわる地域もあります。 まるで日本版ハロウィンですね。
お月見の日のおすすめ料理例
●里芋と秋野菜の煮物 芋名月にちなんだ里芋と、収穫に感謝して秋野菜の煮物を。
●栗ご飯 お月様のような丸く黄色い栗と一緒に炊き込んだご飯は、格別です。
●かきのもとのおひたし 新潟では秋になると菊の花をおひたしなどにして食べる習慣があります。今流行のエディブルフラワーですね。
●うずらの卵入お吸い物 お椀の中でもお月見しましょう。
●季節の果物 柿や葡萄など、旬の味覚を頂きましょう。
不思議な月の大きさ~天体こぼれ話~
皆さんは、月が明るく輝くのは太陽の光に照らされているからだと知っているでしょう。日食になると、太陽と月がぴったり重なるため月が見えなくなったり、太陽の光が美しい輪っかに見える現象が起きたりします。これは、太陽と月と地球という一見大きさも距離もばらばらな星がぴったり同じ大きさに見えるよう配置されているからですよね。たいへん見事な計算と言えるでしょう。
昔、ある天文学者が友人と「この宇宙や地球、月や太陽は一体どうやってできたのか」という議論になりました。 天文学者は、「これらはすべて何者かが意思を持って作ったに違いない」と主張しましたが、友人は「そんなはずはない。偶然にできたのさ」と言いました。 あるとき、その学者は研究室いっぱいにそれは見事な天体の模型を作りあげ、その友人に見せました。 すると友人は驚いて、「一体どうやってこんな見事なものを作ったのか」と聞きました。 学者は「偶然に出来たのさ」と答えました。それを聞いた友人は「そんなはずはない。こんな見事なものが、偶然にできるわけがない」と言いました。 そこで学者は「そうだろう。同じように、この宇宙も偶然に出来たのではないのだよ」と答えました。
世界のお月見
●中国では現在でも、中秋が春節に次ぐ大きな祝日となっているそうです。
この日は、月餅(げっぺい)を食べてお祝いをします。
そう、あの綺麗な模様が施されて中にぎっしり餡子が詰まったあのお菓子はお月見の為のものだったのですね。
最近はスターバックスでも月餅が売られていたり、 ハーゲンダッツにも月餅味があるそうですよ。
また、ルイ・ヴィトンやフェンディ、ジバンシー・ティファニーなどの有名ブランドからも月餅が発売されているそうです。
●台湾では、お月見には月餅や大きな柚子(お月様に似ているからでしょう)を食べ、皆でバーベキューをするそうです。楽しそうですね。
●ミャンマーでは、なんと毎月お月見をするそうです。特に10月は盛大で、お釈迦様が使者を連れて兜卒天(とそつてん)からお帰りになるのを、お寺に蝋燭を沢山灯してお迎えするのだとか。幻想的なこの行事、是非見てみたいですね。
●月が国旗に使われることが多いイスラム圏では、ヒジュラ暦と呼ばれる暦の9月の新月に、日の出から日没まで断食をするラマダンが行われます。
これは、空腹や自己犠牲を経験することで苦しんでいる人々の気持ちを知るためで、この期間は喧嘩や悪口を慎み、多くの寄付や施しが行われるそうです。素敵ですね。
中秋が過ぎても、まだまだお月見は終わらない!
日本人はお月様を眺めるのが大好き。今ではあまり知られていないかもしれませんが、昔の日本人は毎晩少しずつ形を変える月のそれぞれに名前を付けて、連日お月見を楽しんでいました。
お月様はおよそ28日間のサイクルで、細い三日目の月(三日月)から徐々に大きくなり十五日で満月(十五夜)、そこからさらに細くなっていきやがて全く見えなくなってしまう(新月)までを繰り返します。
さらに月が出る時間も、徐々に遅くなっていきます。
十五夜(じゅうごや) お月見が行われる、真ん丸のお月様。
十六夜(いざよい) 十五夜の翌日だから、十六夜。満月の後で気後れして、いざよい(迷い)ながらおずおずと出てくる様子を表す。
立ち待ち月(たちまちづき)今宵も月を見ようと、立って待っている間に出てくる月。
居待ち月(ゐまづき) まだまだ今夜も月を見ようと待っているが、やや出てくる時間が遅いのでゐ(い)ながらにして(座って)待つ月。
寝待ち月(ねまちづき) さらに今夜も月を見ようと待つものの、出てくるのがあまりに遅いので寝て待つ月。
更待ち月(ふけまちづき/さらまちづき) 夜も更(さら)に更(ふ)けてからようやく上ってくるので、更(さら)待ち月/更(ふ)け待ち月と言う。
後(のち)の月見について
→日本だけで行われる二回目のお月見、「後の月見」とは? COMING SOON
十日夜(とおかんや)のお月見について
→秋も終わりに近づく頃の三回目のお月見、「十日夜(とおかんや)」とは? → COMING SOON
Leave a Reply