神社(じんじゃ)で「茅(ち)の輪(わ)」をくぐって、半年分の”穢(けが)れ”を払(はら)い、残(のこ)り半年(はんとし)の無病息災(むびょうそくさい)を祈(いの)ります。
1.神社に年2回、6月30日と12月31日にあらわれる、ちょっと不思議な雰囲気(ふんいき)の「茅の輪(ちのわ)」とは? 2.「穢(けが)れ」とは?日本神話に登場する考え方で、水で洗い流すことができる?神社がきれいに掃き清められ、日本人がお風呂につかる理由も。 3.茅の輪のくぐり方を動画で紹介!祝詞も唱えれば、効果倍増!
1.神社に年2回だけあらわれる、ちょっと不思議(ふしぎ)な雰囲気(ふんいき)の「茅の輪(ちのわ)」とは?
まるでSFに出てくる宇宙(うちゅう)へのゲートのような、ちょっと不思議(ふしぎ)な雰囲気(ふんいき)を持つ「茅の輪」。
実(じつ)は、茅(ち)は日本の水辺(みずべ)によく生(は)えている植物(しょくぶつ)である茅(かや)のことでチガヤや、スゲ、ススキなどです。
今ではあまり活用(かつよう)されませんが、昔から日本人に身近(みぢか)な植物(しょくぶつ)といえるでしょう。
スゲでは上着であるミノや傘を作るし、日本の伝統的な建物の「茅葺き屋根(かやぶきやね)」も、これらの植物で作られます。
※稲(いね)や麦(むぎ)などの茎(くき)は、藁(わら)です。これは、水(みず)を吸(す)ってしまいます。茅(かや)の茎は油分(ゆぶん)があるので水をはじきます。そのため、茅は屋根や蓑(みの)という上着(うわぎ)を作(つく)ります。 他(ほか)にも家畜(かちく)のえさや肥料(ひりょう)、燃料(ねんりょう)にも使われました。 昔(むかし)は、農村(のうそん)の集落(しゅうらく)の一画(いっかく)に、茅場(かやば)がありました。
一年に二回、各地(かくち)の神社では、この茅の輪をくぐる「大祓(おおはらえ)」が行われます。 年末の12月31日の茅の輪くぐりを「大祓(おおはらえ)」といい、一年分の穢れをはらいます。
また、6月30日の大祓を「夏越(なご)しの祓(はらえ)」と呼(よ)びます。
2.「穢(けが)れ」とは?日本神話に登場する考え方で、水で洗い流すことができる。日本人がお風呂につかる理由もここにある?
日本人は昔(むかし)から、「穢(けが)れ」を払う(取りのぞく)ことを大切(たいせつ)にしてきました。
「穢れ」とは、神道(しんとう)の考え方で物質(ぶっしつ)や肉体(にくたい)だけではなく精神的(せいしんてき)なものにも、汚(よご)れが付くことです。穢れはさわれば移り、共同体(きょうどうたい)全体(ぜんたい)に広(ひろ)がりうると考えられていました。
日本神話(にほんしんわ)のイザナギは、黄泉(よみ)の国(くに)=死(し)の国に行って突いた穢れを、きれいな水(みず)で洗い流しました。
清浄(せいじょう)できれいな水は、穢れを清められると考えられています。
そのために、神社には手や口を清める手水場(ちょうずば)があります。
日本人が清潔(せいけつ)好きで掃除(そうじ)をし、シャワーだけではなくお風呂(ふろ)につかるのを好むのも、このためかもしれません。
穢れを払うために、茅の輪をくぐるようになった理由(りゆう)には、こんなお話があります。
「昔、旅の途中で宿が見つからずに困っている神様がいました。神様は、蘇民将来(そみんしょうらい)、巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟に宿を貸してほしいと頼んだそうです。 しかし弟の巨旦将来は、裕福な暮らしをしていたのに断ってしまいました。 兄の蘇民将来は貧しい暮らしをしていましたが、神様に宿を貸してもてなしたそうです。 神様はお礼に、「もしも疫病が流行した時は、茅の輪を腰に付ければ逃れられるでしょう」とお教えになりました。 すると数年後、その地域で疫病が流行したにも関わらず、茅の輪を腰に付けた蘇民将来の家族だけは助かったそうです。後に、その神様は「スサノオノミコト」と分かりました。(備前国風土記、蘇民将来説話より)
このお話から、後(のち)に茅の輪をくぐることで疫病(えきびょう)を退(しりぞけ)流ようになったそうです。
今年(ことし)はコロナウィルスに伝染(でんせん)しないためにも、しっかり近所(きんじょ)の神社で茅の輪をくぐりたいですね!
3.茅の輪のくぐり方を動画で紹介!祝詞も唱えれば、効果倍増!
茅の輪のくぐり方は、神社によって少しずつ違(ちが)うようですのでそれぞれのやりかたに従(したが)ってください。
以下に、くぐり方の例(れい)をあげます。
①両手を合わせ、祝詞(のりと)=神様へのことばを唱(とな)えます。 「祓(はら)えたまへ、清(きよ)めたまへ、守(まも)りためへ、幸(さきわ)へたまえ」 ②左に一回まわります。 ③右に一回まわります(ここまでで、数字の「8の字」をイメージ) ④もう一回左にまわります。
動画(どうが)は、12月31日の、冬の大祓(おおはらえ)のときに撮(と)ったものです。
なので、冬服です(笑)。
※動画の最後(さいご)でしているバンザイは、必要(ひつよう)ありませんよ(笑)
茅の輪をくぐりながら、
「水無月(みなづき)の 夏越(なごし)の祓(はらえ) する人は
千歳(ちとせ)の命(いのち) 延(の)ぶというなり」
という古(ふる)い歌(うた)を唱えるという方法(ほうほう)もあるようです。
神社で茅の輪を見つけたら、是非(ぜひ)くぐってみてくださいね!
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