着物の種類が分かったら、次は帯について見ていきます!
帯にも幅と長さやお仕立ての仕方などによって格があり、このタイプの着物にはこの帯!というのが大体が決まっています。
着物ほど多くはありませんが、帯にもいくつかの種類があります。
見た目があきらかに違うものが多く比較的分かりやすいので、これらの基本だけ押さえておけば大丈夫!
着物と組み合わせる時のご参考になさって下さい♪
左から順に丸帯、袋帯、名古屋帯、半幅帯、兵児帯です。それぞれどんな着物に合わせるのかを見ていきましょう。
もくじ: 1.振袖、留め袖、訪問着などに合わせるのは「袋帯」(「丸帯」) 2.付下げ、色無地、小紋などに合わせるのは「名古屋帯」 3.カジュアルな小紋や浴衣に合わせるのは「半幅帯」 4.一番簡単に着付けられる帯はどれ?二番目は? ESSAY:帯の歴史について。時代によっては、前後左右どこでどのように結んでもOKだった!?歌舞伎や遊女のファッションの影響を受けて今のような形に!
1.袋帯【FUKURO-OBI】振袖、留め袖、訪問着など礼装・準礼装に合わせます。特に丸帯【MARU-OBI】は、花嫁さんなど特別な装いに。
袋帯は、幅が30㎝前後で長さが約4m30cm前後が平均的な大きさです。
振り袖、留め袖(黒留め袖、色留め袖)や訪問着などの礼装や準礼装のフォーマルな着物に合わせます。
これらの着物は結婚式やフォーマルなパーティーなどおめでたい席で着られるので「喜びが重なるように」と二重太鼓結びにすることが多いので、袋帯は他の帯より長めになっています。
▶抑えておきたい着物の基本の種類は、大きく分けて8種類!最も豪華な振り袖からカジュアルな振り袖までご紹介。
袋帯は、表地と裏地の両脇を縫い合わせて「袋のように」仕立ててあるので、その名前があります。裏面は模様が付いていない無地になっています。
全ての見える部分の生地に柄が付いている「全通(ぜんつう)」(「総柄」、「通し柄」とも)、帯を巻いてしまうと見えない部分には柄がなく、6割だけに付いている「六通(ろくつう)」、お太鼓部分や前の見える部分だけに柄が付いている「太鼓柄(たいこがら)」(又は「三通(さんつう)」)があります。
袋帯の中でも、通常の倍の幅がある広い生地を用い、縦半分に折りたたんで両脇を縫い合わせてお仕立てしたものは特に「丸帯(まるおび)」と呼ばれます。こちらは裏表全てに柄が付いており、とても重くて豪華です。花嫁さんなど特別な装いや、芸妓さんが着ることがあります。日本舞踊や歌舞伎の衣装などでも見ることがあるでしょう。
袋帯といえば西陣織りなどの金銀の刺繍が施された豪華な古典柄の織りの帯が主流で振り袖や留め袖に合わせるイメージがありますが友禅染めなどの染めの帯もあります。おとなしめの色柄の袋帯は小紋や色無地にも。
<袋帯のコーディネート例>
〇振り袖に西陣織の袋帯を、立て矢結びやふくら雀などの飾り結びで晴れやかに装った成人式の女性達。
〇色留袖に金銀の刺繍の袋帯は、お手本のような典型的なフォーマルな装いです。
〇友禅染めなど、染めの袋帯もあります。
おとなしめの模様柄の袋帯を小紋に合わせるコーディネート、華やかな色柄の小紋に黒地ベースの袋帯でお洒落な着こなしに。
〇紬の袋帯をお洒落着に合わせてお出かけ用のカジュアルなコーディネートに(ただし紬の着物はフォーマルなシーンでは敬遠されるので注意が必要です)。
2.名古屋帯【NAGOYA-OBI】付下げ、小紋、紬などに合わせるのは名古屋帯。袋帯よりも短く、着付けしやすいようにある工夫がされています。
名古屋帯は長さが約3m60cm前後、幅が約30.4cmです。
何より大きな名古屋帯の特徴は、その形状です。袋帯でも、胴体に巻き付ける部分は半分の幅に折って巻き付けるのですが、それが面倒なのでもう最初から折ってお仕立てしておきましたよ!というのが名古屋帯なのです。
実際に比べてみると分かりますが、着付けするときすごくラクです(ただでさえ長い帯を、半分に折ってそれをキープしながら胴体に巻き付けるのはなかなか大変なのです💦)。
お太鼓にする部分は一重仕立てなので、丸帯一本分の生地で名古屋帯が二本作れるというのも画期的!
これは、袋帯が二重太鼓に結ばれることが多いのに対して名古屋帯は一重太鼓で結ぶことが多いためです(画像は帯の背中にしょっている「お太鼓」部分が一重です。ここが二重になっているのが二重太鼓)。袋帯の4m30cm前後に対して70cmぐらい短くなっていますね。
名古屋帯は、大正時代に、名古屋女学校創立者の越原春子さんという方が「忙しい女性が少しでも楽に着付けができるように」と公案され、ご自身でも着用されていたそうです。名古屋三越(当時)の外商部員の尽力によって商品化され、昭和になると爆発的に広がりました。
染めの帯では友禅の帯、織りの帯では博多帯、紬の帯などがあります。
覚えるのは今は無理しなくてもいいけれど、その他にもこんな種類も・・・
「京袋帯」は通常の袋帯よりも短く、名古屋帯と同じ長さです。格は、名古屋帯よりも上です。
「九寸名古屋帯」は仕立てる前の帯の長さが九寸の名古屋帯です(ただし仕立て上がりは八寸になります)。帯芯ありです。
「八寸名古屋帯」は胴に巻く部分の折ったところを縫い合わせず、かがるだけです。つづれや紬など厚いものが多いので、帯芯なしで仕立てることが多いです(太鼓の部分にだけ薄い芯を入れることもあります)。
<名古屋帯のコーディネート例>
3.半幅帯【HANHABA-OBI】は、カジュアルな小紋や浴衣に合わせます。その名の通り幅が袋帯や名古屋帯のほぼ半分です。初心者にも結びやすい帯といえるでしょう。
半幅帯(はんはばおび)の幅は約17cm、長さは約3.6〜4m前後です。
表地と裏地でリバーシブルになっているものと、一枚で仕立てられているものがあります。
浴衣を着るときに結んだことがあるという方も、多いのではないでしょうか。
文庫結びなどは何度かやれば覚えてしまうので、普段着物をあまり着ない方でも半幅帯なら自分で結べる、という方もいらっしゃるかもしれません。
最近では結び方のバリエーションも豊富で、楽しみ方の多い帯です。
4.兵児帯【HEKO-OBI】元々は鹿児島男児が締めていた縮緬の帯。今は子供用の浴衣帯や、女性の浴衣帯としても使われます。練習いらずで、最も簡単に誰でも結べちゃいます!
兵児帯(へこおび)は、やわらかな縮緬(ちりめん)の絞りの帯です。大幅(約74センチ)、もしくは中幅(約50センチ)があります。
最初は鹿児島地方で、兵児(15歳以上、25歳以下の青年)が締めていました。彼らは、刀を差すために軍服の上から兵児帯を締めていたとか。西郷隆盛も兵児帯を締めているイメージがありますね。それが、明治維新で徐々に東京に広まったそうです。
やがて結びやすい兵児帯は、子供用の浴衣の帯の定番になっていきました。
子供の頃、夢のようにふわふわと可愛い色の兵児帯に胸がきゅんとなっていた方もいらっしゃるかもしれません。蛍光カラーのオレンジ、黄緑、イエロー、赤・・・。金魚の尾っぽみたいにひらひらさせながら、お祭りに出かけるのが楽しかったかもしれませんね。
画像:COMING SOON
また最近では、兵児帯を大人の女性が浴衣に合わせることもあります。結び方も、ぐるぐる巻いてちょうちょ結びなどにするだけなので練習いらずでとっても簡単。
結び目がゆるくなりがちなのが気になるという方は、半幅帯と重ねて一緒に結ぶとキュートさが10倍増しで可愛くなりますよ。
画像:COMING SOON
一番簡単に着られる帯は、どれ!?二番目は?
〇「浴衣(ゆかた)」は、通常、綿(めん=コットン)や麻など、吸水性の良い生地で出来ていて、他の着物のように裏地が付いていません。※通常、夏以外の春・秋・冬に着る着物は「袷(あわせ)」と呼ばれ、裏地が付いています。
〇浴衣と他の着物では、帯の種類が違います。浴衣では、「半幅帯(はんはばおび)」という、その名の通り通常の帯の半分ほどの幅の帯が使われることが多いです。
普通のお着物では、通常「丸帯」、「名古屋帯(一番ポピュラー)」などが使われます。こちらは幅が広く、普段着やフォーマルな場面でも「お太鼓(たいこ)」に結ぶのが一般的です。
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※結婚式や成人式など、華やかさが必要な時は「ふくら雀」「立て矢」などの変わり結びバージョンも色々あります。
しかしこれらの正式な帯を結ぶには、「帯締(おびじ)め」「帯揚(おびあ)げ」の他、見えない部分でも「帯枕(おびまくら)」「仮紐(かりひも)」などの追加アイテムが必要になってくるのです。しかも、締め方は着付け教室に通う必要がある位、複雑・・・💦
その点、浴衣で締める『半幅帯』はこれらの追加アイテムが必要なく、帯一本で着付けOK!締め方も、1回か2回やれば自分でできるようになってしまいます♪
金魚亭の「はじめての着物セット」では、まずこちらの半幅帯をセットに致しました!
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最近は、お出かけや普段着としてお気軽にお着物を着るのであれば、お着物に半幅帯を合わせるのは普通になっています。
アクセサリーやアクセントとしてほしい時は、半幅帯にも帯締めや帯揚げを合わせることも出来ますので、着こなしの幅はその他の帯同様、う~んと広いと言えます。
ESSAY:帯の歴史について。 時代によっては、前後左右どこでどのように結んでもOKだった時代も!? 歌舞伎のファッションの影響を受けて幅広となり、今のように「お太鼓結び」が主流になったのは江戸時代の遊女の流行から! 室町時代や江戸時代の初め頃まで、女性用の帯は細帯でした。 平安時代の宮中の女性は、長い打ち掛けを何枚も重ねて部屋着としていました。やがて時代が進み、女性も家の外に出て活動し始めると帯を締めて活動しやすくします。 室町時代や戦国時代までの女性は、今よりも簡易的な細帯を締めていました。 江戸時代になると、その当時の流行の発信源であった遊女や歌舞伎役者が競って豪華な着物を着るようになります。それに伴い、帯も装飾性を増して柄を付けたり刺繍などを施すようになり、幅も広くなっていきました。結び方も、前後左右どこでもよかったとか。 あるとき、遊女がお太鼓橋の完成お披露目で帯を背中でお太鼓に締めたのが大流行したそうです、。それを一般の女性も真似するようになり、帯といえば「お太鼓結び」がスタンダードになっていたのだとか。 着付け教室などに行くと、最初に教わるのがおそらくこちらの「お太鼓結び」です。 帯を胴にぐるぐる巻き付けた後、残りを縦に折りたたんで「帯締め」で固定し、帯枕(「帯揚げ」で包んでこちらも前から見たときに装飾になります)でお太鼓の高さを出します。 ※ちなみにおはしょりを作るのは、武家の奥方が「家ではおひきずりで優雅に過ごしているのですよ」という主張のために長めに仕立てた着物をたくしあげ、はしょって帯を締めたことからと言わています。
おわりに
以上、帯の基本の種類について見てきました。はじめて着物を着る場合は、ある程度フォーマルにきちんと着たいなら名古屋帯。お出かけや普段着としてカジュアルに楽しみたいなら半幅帯(浴衣なら兵児帯というチョイスも)あたりをおさえておけば良いのではないでしょうか(^^)
次は、着物の産地や季節による区分など、さらに詳しい種類について見ていきましょう!「これが着てみたい」と思う着物が、きっと見つかるかもしれません♪
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